介護施設では常勤職員はもちろんのこと、パートスタッフは必要不可欠な存在です。
パートスタッフは介護職員の人手不足を補うために雇用され、常勤スタッフと同じ業務をこなすことが求められます。
しかし、介護施設で働くパートスタッフの人間関係は、常勤職員と比べて複雑でありトラブルが起こりやすいという側面もあります。
そこで、この記事では介護施設で働くパートスタッフの特徴や業務内容、人間関係の問題点や改善方法、そしてモチベーション向上のための方法など網羅的に解説していきます。
もくじ
介護施設で働くパートスタッフは介護業界において正社員の労働力不足を補うために雇用される非正規のスタッフのことを指します。
パートスタッフと正社員の最大の違いは、雇用形態と社会保障の違いです。
正社員は基本的には定期的に給料が支払われ、社会保障が整っています。
一方でパートスタッフは契約に基づいて支払われる時給制で、社会保障の範囲が限られます。
パートスタッフの雇用形態には以下のようなものがあります。
- 常勤パート
- 準常勤パート
- 日雇いパート
- 短時間パート
これは一例で、介護施設によって採用されるパートスタッフの雇用形態は異なります。
介護施設におけるパートスタッフは、正社員の補助として以下のような仕事を行います。
- 利用者さんの介助(食事・排泄・入浴・移動・他)
- レクリエーション
- 掃除・洗濯
などを行います。
介護業界は常に人手不足の状態です。
そのため正社員が不足した場合にパートスタッフが積極的に補充されるため、介護の質を維持する上で欠かせない重要な存在になっています。
介護施設でパートとして働く場合、人間関係は非常に大切な要素となります。
パート同士や正社員との関係性によって、職場の雰囲気や働きやすさに大きな影響を与えるためです。
上司や同僚との関係性は、介護職として働くうえでのストレスやモチベーションに大きく影響します。
職場で上司や同僚とうまくやっていくためには、まず相手の立場や考え方を理解することが重要です。
また、コミュニケーションを取りながらお互いの意見を尊重し協力して業務に取り組むことも大切です。
パート同士の関係性は、職場の雰囲気や労働環境に影響を与えます。
パート同士で協力し合いや助け合いをしながら業務を進めることで職場全体の雰囲気もよくなります。
パート同士がうまくコミュニケーションを取り協力して業務にあたることで、ストレスや不安を軽減し働きやすい環境を作ることができます。
パートと正社員の関係性も職場の雰囲気や働きやすさに大きく影響します。
パートは正社員に比べて給与や待遇が低いことが多いにも関わらず仕事の負担はほとんど変わらない現状があるため、正社員との間にギャップが生じることもあります。
しかし、お互いの立場や役割を尊重し、協力しながら業務にあたることで、職場全体の雰囲気をよくすることができます。
とはいえ介護施設でパート職員として働いていると様々な人間関係の問題が出てきます。
具体的には以下のような問題が出てきます。
- 正規職員とのコミュニケーション不足
- 正規職員からの高圧的な態度を取られることがある
- 専門職から高圧的な態度を取られることがある
- 業務内容がほぼ同じにも関わらず報酬が少ないというストレス
- パート職員の意見が通らないことが多くある
介護施設で働くパート職員は正社員と異なり、他の仕事があったり家庭の事情で勤務時間が限られていることが多く、定期的な顔合わせが難しい場合が多いです。
そのため、職員間のコミュニケーションや信頼関係が築けず、人間関係が希薄な状態になってしまうことがあります。
また、時間が限られているが故に職員同士での認識のズレなどが原因でトラブルが生じることもあります。
正規職員からの高圧的な態度を受けることがあるのも問題です。
正規職員は業務に関する権限や知識が豊富なことが多く、それが原因でパート職員に対して高圧的な態度をとってしまうことがあります。
これにより、パート職員は仕事に対するモチベーションを失うことがあります。
上記と同じように専門職との確執で苦しんでしまうこともあります。
介護施設で起こりやすい専門職とのトラブルは主に看護師やケアマネなどが挙げられます。
パート職員とフルタイム職員では業務内容がほぼ同じにも関わらパート介護士の方が正社員介護士よりも給与が少なくボーナスも低いです。
その為、ストレスを感じ人間関係が悪化してしまうパターンもあります。
介護施設で働くパート職員の中には、自分たちの意見がなかなか通らないと感じている人もいます。
これは、正規職員との立場や経験の差が原因となっている場合があります。
また、パート職員は働く時間や日数が少ない場合もあり、正規職員と比べて現場の全体像を把握しづらいことがあります。
そのため、パート職員の意見が採用されなかったり、聞き入れられなかったりすることがあるかもしれません。
では介護施設に勤務しているパートスタッフがどのように人間関係を良好に保ち働きやすい環境を手に入れられるのか具体的に解説をしていきます。
介護施設で働くパートスタッフが信頼を得るためには、積極的にコミュニケーションを取ることが重要です。
自分から積極的に話しかけることで、職場の雰囲気を良くし、人間関係を改善することができるようになるからです。
例えば・・・。
- 笑顔で挨拶をする
- お互いの近況を尋ねる
- 相手の意見を良く聞く
- 自分の意見を述べる
などの積極的な行動が大切です。
また、他の職員と協力して業務を行うことでチームワークを高め信頼関係を築くことができます。
ですので介護施設で働くパートスタッフが他の職員との信頼関係を築くために、積極的にコミュニケーションを取っていきましょう。
研修やスキルアップの機会を活用することで円滑な人間関係に繋がっていきます。
知識や技術が向上することで、正確で迅速な業務遂行が可能となり、周囲から信頼されるようになるからです。
- 介護技術の研修
- コミュニケーションスキルの研修
- 資格取得支援制度の利用
などを活用することで、より高度な技術や知識を身につけることができます。
介護の現場では、常に変化する環境に適応していくことが求められています。
そんな環境下で研修やスキルアップの機会を積極的に活用し自己研鑽に励むことで自身のスキルアップにつながり周囲からの信頼を集められるのです。
ミスや問題が起こったら、すぐに対処することが大切です。
ミスや問題を放置すると利用者さんや仲間からの信頼を失うことにつながり人間関係に悪影響を及ぼす可能性があるからです。
例えば・・・。
患者さんに薬を間違えて投与してしまった場合すぐに上司に報告し、医師と相談する。
などの正しい対処することが大切です。
さらに、自分自身のミスを反省し再発防止策を考えることも重要です。
ミスや問題が起こったら素早く的確な対処を行い反省し改善していくことで信頼を回復していくことに繋がっていきます。
介護施設で働くパートスタッフはチームワークを意識することが非常に重要です。
なぜなら、チームワークが良好であれば職場全体がよりスムーズに運営されるため、他のスタッフとの関係も改善されていくからです。
また、仕事の負担も分担することができ、効率的に業務を進めることができるようになります。
結果、職場環境が良くなりストレスも軽減されます。
例えば、業務の優先順位やスケジュールについて全員で話し合うことで業務の効率化が進み、トラブルが発生することを防ぐことができます。
作業の分担についても相談し合うことでスタッフ同士の得意な部分や不得意な部分を補い合うことができるでしょう。
パートスタッフがチームワークを意識して行動することで職場全体がスムーズに運営され、他のスタッフとの関係も改善されます。
自分たちの役割や責任を理解し積極的に協力し合っていけるよう心がけましょう。
相手の立場に立って考えたり、助け合う意識を持つことが人間関係を改善するために重要です。
パートスタッフが相手の立場に立って考えたり手助けすることで、正規職員との間に信頼関係を築くことができます。
例えば、忙しくて正規職員の手が回らなくなってしまった場合にパートスタッフが代わりに手伝うことで、正規職員から感謝されお互いの信頼関係が深まることがあります。
相手の立場に立って助け合いの精神を持つことでパートスタッフと正規職員の間で良好な人間関係を築くことができます。
職場外でのコミュニケーションを充実させることは、パートスタッフの人間関係改善に効果的です。
職場外での交流は職場内でのコミュニケーションがスムーズになるだけでなく、職場以外での交流によって相手の良さを見つけたり、親睦を深めることができます。
例えば・・・。
- 定期的にランチや飲み会を開催する
- 趣味やスポーツのグループに参加する
- SNSを活用して情報交換や意見交換をする
などがあります。
こういった職場外での交流はパートスタッフ同士だけでなく正規職員との交流も深めることができます。
パートスタッフがストレスを感じたときは、早めに自分で対処することが重要です。
ストレスを感じたまま仕事を続けると、健康に悪影響を及ぼしモチベーションが下がることもあります。
また、周りのスタッフにも迷惑をかけることがあるため早めに解決する必要があります。
パートスタッフは自分自身の時間をしっかり作って「リラックス」することがストレスを溜めないために大切な要素となります。
たとえば、昼休みや休憩時間を利用して好きな本を読んだり趣味に没頭したりすると効果的にリラックスすることができます。
また、仕事とプライベートの時間をしっかり分けることで、仕事にストレスを持ち込まずプライベートの時間も大事にすることができるので心身ともにリフレッシュすることができます。
自分自身の感情をコントロールする方法でもストレスを軽減できます。
怒りやイライラなどのネガティブな感情を感じた場合は
- ゆっくり深呼吸をすることで、リラックスした状態になる。
- 同僚や上司や友人へ相談したり話しを聞いてもらうことでストレスを軽減する。
- 趣味に打ち込んだり、ストレッチやウォーキングやスポーツなどで汗を流すことで気分転換
- 十分な睡眠と休息をとることで、体力を回復
- ポジティブな感情を持つことで、ストレスに対する免疫力がアップ
など、リラックスする方法を取り入れることが有効です。
さらに、自分自身に目標を設定することで、ストレスを軽減することができます。
悩める介護士
など、自分自身が達成できる範囲の目標を設定することで達成感を感じることができモチベーションも向上します。
介護施設でのパート勤務においてストレスを感じる原因の一つに「コミュニケーション不足」が挙げられます。
ストレスフリーな職場を目指すためには、コミュニケーションを積極的に取ることが重要です。
コミュニケーションが円滑になることで誤解や対立が減り、職場の雰囲気が良くなるからです。
具体的な取り組みとしては
- あいさつを積極的にする
- スタッフ同士でのランチ
- 「まだ終わってない仕事ある?」などの気遣いの一言
など小さなコミュニケーションを多くすることでメンバー同士の関係性を深め信頼を築くことができます。
積極的なコミュニケーションを通じて、職場のストレスを軽減し、働きやすい環境を作りましょう。
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パートスタッフは立場が弱いことが多く、正社員や看護師などからいじめやパワハラの標的になってしまうことがあります。
ですのでいじめやパワハラに会ってしまった際の具体的な解決法を知っておくと役に立ちます。
自分自身がいじめられたときには、まずは感情を抑えて落ち着くことが大切です。
その上で、以下のような対処法を実践することが重要です。
- 自分がいじめられているということをしっかりと認識すること
- いじめをしている人や行為を具体的にメモに残すこと
これらの対処法を実践することで自分自身を守ることができると同時に、職場におけるいじめ問題を解決する一助となることが期待されます。
作成したメモを元に上司や人事担当者に相談することで問題解決に繋がることがあります。
また、介護施設には専門の相談窓口が設けられていることがありますので、そちらも利用すると安心して相談することができます。
相談をすることで問題の解決につながり職場の人間関係改善にもつながると言えます。
労働基準監督署やハラスメント相談窓口に相談することも職場いじめへの対策の1つです。
自分で解決できない問題や職場の上司や人事部門との話し合いが困難な場合は外部機関へ相談することが必要です。
労働基準監督署では雇用契約書のチェックや職場での人権侵害に関するアドバイスを行っています。
相談内容によっては調査や是正勧告を行うこともあります。
しかし、上司や職場の人間関係に問題がある場合は相談すること自体が難しいかもしれません。
そうした場合は、別の職場を探すことも考えるべきです。
介護施設でのパート勤務には、以下のようなメリットとデメリットがあります。
- 時間の融通が利く
- 無理なく働ける
パートの場合、正社員に比べて勤務時間の融通が利くため、家庭との両立がしやすいというメリットがあります。
また、自分のスケジュールに合わせて勤務することができるため、自己管理ができる人には向いていると言えます。
介護現場は体力的にも精神的にも負担が大きいため、正社員で働くことができない人でも、パートであれば無理なく働くことができます。
また、週の勤務時間を希望通りに調節できるため、負担が少ないというメリットもあります。
- 収入が少ない
- 福利厚生が少ない
- 昇給や昇格が難しい
パートの場合、正社員に比べて時給が低く、収入が少ないというデメリットがあります。また、週の勤務時間が少ないため、収入が安定しないという問題もあります。
パートの場合、福利厚生が正社員に比べて少ないことが多いため、病気や怪我をした場合には治療費の負担が大きくなるというデメリットがあります。
パートの場合、正社員に比べて昇給や昇格が難しいというデメリットがあります。
また、正社員と比べて役職や責任の範囲が狭くなるため、活躍する機会が少ないという問題もあります。
以上が、介護施設でのパート勤務のメリットとデメリットです。
パートで働く場合は、自分に合った働き方を選び、メリットを最大限に生かすことが大切です。
介護施設でのパート勤務には介護スキルだけでなく、コミュニケーションスキルや時間管理スキルなど、様々なスキルが必要です。
まず、介護スキルについては、介護技術や介護知識が必要になります。
例えば、ベッドメイキングやおむつ交換、食事介助など、日常的な介護に必要な技術や知識が必要です。
また、入浴介助や排泄介助など、身体的な介護にも慣れておく必要があります。
次に、コミュニケーションスキルについては、利用者様やその家族とのコミュニケーションが重要です。
適切な言葉遣いや表情、タイミングなどを考慮し、利用者に寄り添ったコミュニケーションをとることが大切です。
介護施設での業務は常に時間的な制約がありますので時間管理スキルは必須です。
入浴や食事の介助など、決まった時間内に行わなければならない業務もあります。
そのため、スケジュール管理やタイムマネジメント能力が必要になるからです。
トラブルの原因が自分自身にある場合、自己改善することが必要です。
素直に自分のミスや誤解を認め、改善する姿勢を持つことで信頼を得られるようになります。
介護施設は、利用者の方々やその家族にとって非常に大切な場所です。
パートとして働く場合、利用者の方々やその家族との信頼関係を築くために、常にやる気と前向きな姿勢を持つことが必要です。
また、業務に対して真剣に取り組むことで、正社員や同僚からの信頼を得ることもできます。
介護施設では、様々な業務が発生します。
そのため、パートとして働く場合には、柔軟性や協調性が必要になります。
業務内容に応じて自分の役割を理解し、周りと協力しながら業務を遂行することが大切です。
介護業界は、年々高齢化が進む中でますます重要性が高まっています。
そのため、新しい知識や技術を常に学び続ける姿勢が必要です。
例えば、介護保険法の改正や新しい介護技術やAIやツールの導入など常に変化していく業界ですので、これらに対応する能力が求められます。
自分自身がスキルアップし、利用者の方々やその家族から信頼されるように努めましょう。
介護施設に勤めているパート職員でもキャリアアップをしていくことが可能です。
具体的には国家資格である介護福祉士を取得していくのが一般的です。
介護福祉士の資格を取得することはパートスタッフのキャリアアップに繋がる重要な一歩です。
介護福祉士になると給与がアップしたり正規職員へのステップアップできるなど、様々なメリットがあるためです。
さらに、介護業界は今後も高齢化社会の影響で需要が高まることが予想され、介護士の需要は増え続けるため、資格取得は将来的にも有益です。
ですので介護施設で働くパートスタッフは積極的に介護福祉士の取得に取り組むことが望ましいと言えます。
介護福祉士は、高齢者や障害者の介護を専門とする資格です。
介護福祉士の資格を取得するためには、以下の手順を踏む必要があります。
介護福祉士を目指すには、まず介護福祉士養成施設(専門学校や短大、大学など)で学ぶか、または実務経験を積むことが必要です。
介護福祉士試験を受験するには、以下のいずれかの条件を満たしている必要があります。
介護福祉士養成施設での研修修了
介護福祉士補の実務経験が3年以上
介護福祉士補の実務経験2年以上+特定の研修の修了
介護福祉士試験は、毎年2月に実施されています。試験は筆記試験と実技試験の2部構成となっており、筆記試験は選択式の問題で、実技試験は介護技術の実演が求められます。両方の試験に合格することで介護福祉士の資格が得られます。
合格後、都道府県の社会福祉士・介護福祉士審査会に登録申請を行い、登録証を受け取ることで、正式に介護福祉士として働くことができます。
資格取得に向けて、適切な養成施設や研修を選び、試験対策を行ってください。
また、実務経験を積むことで、よりスキルを磨くことができます。
介護士がスキルアップを目指すために参加できる研修会はさまざまです。それらの研修会は、介護技術や知識の向上、専門性の強化、チームワークやコミュニケーション能力の向上など、幅広い目的で開催されています。以下にいくつかの研修会の例を挙げます。
介護士がリーダーシップ能力を磨くことを目的とした研修です。チームワークやコミュニケーション能力、問題解決能力の向上が期待できます。
認知症の理解を深め、認知症の高齢者への適切なケア方法を学ぶ研修です。認知症ケアに特化したスキルや知識が身につきます。
緩和ケアの基本的な知識や技術を学ぶ研修で、痛みや苦しみを和らげるケア方法を習得できます。
移乗介助や排泄ケアなど、身体介護技術を向上させるための研修です。効率的で安全なケア方法を学べます。
利用者や家族とのコミュニケーションを円滑にするための研修です。コミュニケーション能力の向上が期待できます。
介護の現場でのマナーや接遇を学ぶ研修です。利用者や家族との信頼関係を築くために役立ちます。
介護保険制度や法改正に関する最新情報を学ぶ研修です。適切なサービス提供に必要な知識が身につきます。
パートの介護職員でも上記で紹介したように介護福祉士の資格を取得したり研修を受けたりして経験やスキルアップをすることにより、正社員に昇進したり別の職場で正社員として雇用されることができます。
現在パートだけども介護という職種を今後も続けていきたいと思っている人はぜひ上記のことを実践して自らのキャリアアップにお役立てください。
介護施設でのパート勤務は、正社員とは異なる雇用形態ですが、重要な役割を果たしています。
パートとして働くためには、柔軟性と協調性、前向きな姿勢、常に学び続ける姿勢が必要です。人間関係で悩むことがある場合には、コミュニケーションの改善や第三者機関の活用などの解決方法があります。
パート職員として働くことで、介護スキルや知識を身につけることができ、少子高齢化社会にとってかけがえのない存在になることができます。
パート職員だからと見下されることもあるかもしれませんが、良い人間関係を構築して働きやすい職場環境を手に入れましょう。